■君を想う5のお題■ 01.誰よりも何よりも(仙越) 02.いつかきっと君と(イザアス) 03.叶うのならずっとずっと(島準) 04.約束して(利準) 05.幸せのカタチ (ハルアベ) 配布元→http://airtitle.nobody.jp/ 01.誰よりも何よりも 鬱陶しいくらい、他人のテリトリーに入りこんでくる。 遅刻するな。だとか、サボるな。だとか、ちゃんと食べろ。だとか。 親でも、幼馴染でも何でも無い、ただのチームメイトなのに。 人の領域にずかずかと。 最初はむかついた。 俺は一人でいることを好んだし、 何より他人に干渉されるのが嫌だった。 バスケも人並み以上の才能がある。 お前がどれだけ努力したって、無理なレベルの話だ。 昔のチームメイトは、俺を避けてた。 お前にはついていけない。とか言われたこともあったかな。 なのにお前はそんなに我武者羅に努力して、 俺にまとわりついて、 俺に説教して。 いつからかその時間を楽しんでいた。 俺に向かって、顔を真っ赤にして怒鳴るお前を見てるのが好きだった。 「せんどー、どこいきやがった!」 今日もこうやって、あいつくるのをサボりながら待ってる。 「あっ!お前またこんなとこでサボってやがったな。さっさと戻れ。茂一が怒ってる」 「えー、いーじゃん。今日はこんなに天気もいいんだし」 確信犯である。 「よくねーよ。おら、さっさと戻れ。じゃないと、俺が怒られんだよ」 「ケチ」 「ケチでけっこう。ほら、起きろ」 「わかったよ。越野、手」 越野は俺の方だけ向いてればいいんだ。 「何が『手』だ。置いてくぞ」 それで、俺だけを見てればいい。 越野だけは誰にも譲らない。 「あっ、置いてくなよー」 「早くこいよー」 お前のその笑顔は俺だけのものだ。 02.いつかきっと君と ゆっくりと流れる雲を見上げる。 ――あぁ、世界はこんなにも平和だったのか。 などと思ってしまう。 オーブで生活するようになって数ヶ月が経つ。 君と離れてからなら、どれくらい経つんだろう。 戻ろうと思えば戻れたこの数ヶ月。 戻ろうとしなかった数ヶ月。 逢いたかった。 逢いに行けなかった。 時々、すべてを投げ捨てて君のもとへ行きたいと思った。 だけど、もう少しだと自分にいいきかせた。 こうやって、ともに空を眺めることもできるようになるからと。 「アレックス」 偽りの自分を呼ぶ声がする。 早く君に逢いたい。 君の声で、俺の本当の名前を呼んで欲しい。 ――アスラン... 「今、行く」 もう少し、もう少しだから... 03.叶うのならずっとずっと 雨が降る。 視界が歪む。 終りを告げるサイレンが鳴る。 「・・っい」 声が聞こえた。 「・・太、・・準太」 名前を呼んでいる。 「・・準太っ、おい、準太っ!」 ゆっくり瞼を開けると、 眉間にしわを寄せ、心配そうにこちらを見る慎吾さんが居た。 「大丈夫か?」 夢を見た。 「・・・はい」 雨が降るグラウンド。 わき起こる歓声と、落胆の声。 「じゃ、もっかい寝ろ。まだ早いから」 時が止まった、 「・・はい」 気がした。 「おやすみ」 もう一度、あの時に。 あの試合をする前に。 円陣を組んで、声を上げたあの瞬間に。 叶わないからこそ、焦がれて。 戻れないからこそ、欲した。 もっと、夏は長いと思っていた。 ずっと、一緒に白球を追っていられると思っていた。 もっと、みんなと、あなたと野球をしていたかった。 抱きしめてくれる腕は、何も言わず。 ただ、やさしく俺の心ごと包み込んでくれる。 叶うのならずっとずっと、 マウンドに立つ自分の弱い背中を、 後ろで、あなたに支えていて欲しかった。 04.約束して 「準さん。今日、練習前ちょっと俺に投げてくれませんか?」 「はぁ?めんどい」 「いーじゃないっすか、減るもンじゃないし」 「イヤだ」 「少しだけじゃないっすか。ねぇ、和さん」 「えっ?」 「何でそこで和さんなんだよ。和さんは関係ないだろ」 「えー、いいじゃないっすか今日ぐらい。ねぇ?」 「だから、ねぇじゃねっつーの」、 「そんなに言うんなら投げてやればイーじゃん」 「慎吾さんは関係ないでしょ」 「ひっどいなー」 「ねっ、準さん。お願いしますよー」 「イ・ヤ・だ」 「準さーん」 「そこらへんで、準太も折れたらどうだ?」 「えっ?」 「少しぐらいならいいだろ?利央もキャッチャーなんだしな」 「ですよね。さすが和さん!」 「何が、さすが和さんだ。」 「いいだろ、準太」 「和さんがそこまで言うなら・・」 「やりっ!」 「利央、やきそばパンな」 「ちぇっ」 「どうすんだよ?」 「わかりましたよ。買ってきますよー」 「和さんに感謝しろよ」 「はぁ〜い」 「あっ、準さん約束っすからね!!」 廊下を駆けて行く足音が響いた。 05.幸せのカタチ ちょうど、ひなまつりを過ぎた頃だった。 「何、食べてんすか?」 部室でベンチに座りながら何かを食べてる元希を見つけた。 「ひなあられ」 「何でそんなもん・・・」 「カバン中入ってたから」 「そうっすか」 「どうせ、姉貴んだよ」 「元希さんって、お姉さん居たんすか?」 「あぁ」 「へぇー」 「いるか?」 「ぇ、・・・ありがとうございます」 珍しく差し出された袋の中に手を突っ込んだ。 出てきたのはチョコ味だった。 「・・・イタダキマス」 「あっ、お前それ入ってんの少ないんだぜ」 「えっ?」 「俺がそれ好きなんだよ」 「はい?」 「返せ」 「何言って・・・っ」 意地の悪い笑みをこっちに向けたと思ったら、 そのまま口付けられた。 「やっぱ、チョコだな」 「いきなり何すんですかっ!」 「何って、キス」 「なっ、・・んなとこでっ」 勢い良く立ち上がると、ベンチに置いてあった袋が落ちた。 「うわっ!」 「お前、何してんだよっ!ちゃんと片付けろよ!」 「あんたが悪いんじゃないっすか!」 「お前が悪ぃんだよ。あんな勢い良く立ちあがる奴が悪い」 「それは、あんたがこんなとこでするから・・」 掻き集めていたあられから視線を上げると、 目の前に元希の顔があった。 「こんなとこじゃなかったらいいのかよ」 「んなこと、今はどうでもいいじゃないっすか。それより、ほうき!」 「どうでもよくないっしょ?」 「監督が・・く・・」 「へーき」 またいつもの笑みだ。 向き合った状態で自然と顔が近づいた。 離れると何となく恥ずかしくて、直ぐに視線を外した。 今、自分の顔は真っ赤なんだろう。 「タカヤっ」 振り向くとちりとりとほうきをもった元希がいた。 「おら、ちゃんと掃けよ」 ちゃっかり自分はちりとりをとって、座りこむ。 「監督くんだろうが」 まじめぶったその顔に、 思いっきりちらばったあられをぶつけてやろうかと思ったが、 大げさに溜め息をついて、掃除を始めた。 「溜め息ついてないで、さっさとしろよ」 「わかってますよ。誰のせいだと思って・・・」 「なんだよ」 「元希さんこそ動かないで下さいよ。いれにくい」 「うっさい。お前がヘタなんだよ」 小さく苦笑するような、互いにごまかそうとする この微妙な雰囲気が少し好きだった。 |
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