■感傷的なお題■ 01.囁き一つ 02.傷痕に口づけを (ハルアベ) 03.色を変える眼差し 04.掌に浸透熱 05.君にしか触れない場所 06.噛みしめた唇 07.足枷も愛情 (仙越) 08.小さな爪 (利準) 09.ココロもカラダも (イザアス) 10.その背に羽根が生えたなら (島準) 5月分は上記より、02・07・08・09・10を使用しました。 配布元は閉鎖されました。 02.傷痕に口づけを シニアの練習のあと、いつものように元希の家に行くふたり。 いつの間にか、こうすることが当たり前のようになっていた。 「・・・ん・・っ・・ふっ・・」 部屋に入るなり、貪るように口付けて、ベッドに倒れこむ。 後は、欲望のままに体を重ね合わせるだけ。 互いの深いところには、今はまだ気づかない振りをして。 夜、目が覚めると、幼い寝顔をした元希がいる。 それを眺めていると、何故かやさしい気持ちになる隆也がいた。 「これだから・・・。」 あんたのことを嫌いになれないんだ。と、心の中で呟く。 獣のように自分のことを抱く元希が最初は嫌いだった。 まるで、そのためだけに自分がいるような気がしてならなかったから。 だけど、こんな無防備な姿を『自分にだけ』晒しているという事実に気がついてからは、 嫌いになるというより、むしろ愛しくて仕方なくなっていた。 情事の最中に、「好きだ」「愛してる」なんていう甘ったるい言葉なんて無いに等しいけ れど、 それでも抱きしめてくれる腕にそのやさしさを感じることができるのだ。 互いの想いは口にしないけど、たぶんどこかで繋がっているんだろう。 と、隆也は少しだけ信じられるような気がしていた。 じっと元希の寝顔を見ていると、不意に元希が寝返りをうつ。 片足が布団からはみ出して自分のほうへ出された。 半月板を損傷したとかいっていた膝に自然と目がいく。 今これだけ投げられているのだから気にすることなんてない。とはさすがに言えない。 雨が降るようになると毎日のように膝を気にしているのを何度も見たことがあったのだ。 「・・・大丈夫ですよ。」 隆也はそう囁きながらその膝に軽く口付けた。 自然と表情はやさしく微笑んでいた。 07.足枷も愛情 絶対に放してやらない。 たとえ、お前が俺から放れたいと思っても。 たとえ、お前が俺を嫌いになっても。 お前を放してなんかやらない。 いつでもしょうがないといいながら俺を世話を焼いてくれる越野。 それが半分は俺の計算だということも知らずに、まるで自分に与えられた使命かのように それを全うしようとする。 俺は、越野に依存している。 たぶん、それは越野にも言えることだろうと思うが。 俺がだらしなくすればするほど、越野の世話焼き根性というのかそういうものに火をつけ る。 そうなればこっちのもので、何でも文句をいいながらも俺の世話を焼くために、俺の傍に いる。 そうせざるを得ないのだ。 まぁ、すべては愛情に裏付けられているとわかっているからできるのだが。 俺もつくづく性質が悪いね・・。なんて、思ってもみたりするが、気にしない。 どんなことをしてでも俺は越野を自分の許に留めておく。 放すなんてそんなことしない。 俺はバスケの天才で、セックスがうまくて、かっこよくて、でも、だらしない。 だから、越野が必要。 そう。そんな程度でいいのだ。 すべてが完璧なのもいいものだが、越野が傍にいてくれるのであればどんな俺でも演じよ う。 たぶん、気が付けば演技が真実に変わるくらい。 俺は、越野を狂おしいくらい愛してる。 08.小さな爪 5月になって、気温も上がった。 練習後は、汗だくで部室も熱気で満ちている。 水浴びですら気持ちよく思えるくらいに。 グラウンドの整備を終えて、練習後にちょっとしたお遊び。 ホースで水を撒きながら、騒いだ。 ズボンや靴下はびしょびしょで、上半身は裸。 部室に戻る頃には、髪の毛から水が滴り落ちていた。 部室のベンチに座りながら、まず靴下を脱ぐ。 足を伸ばして靴下を抜ききると、向かいにいた準さんの足が見えた。 準さんは、身長と比べても標準的な足のサイズだけど、足の爪は小さ目のような気がした。 「準さんって、足の爪小さいっすね。」 「そうか?」 「だって、俺と準さんの足のサイズってあんまかわんないっしょ?だけど、ほら。」 そういって、準さんの足と俺の足を並べると、やっぱり準さんの足の爪は小さめだった。 「ねっ?」 準さんは、そんな事実にどこか不満そうで、ちょっと膨れていた。 そんな準さんが可愛くて仕方ない。 「利央のくせに・・・。」 準さんがボソリと呟きながら、靴下を履いた。 俺も、それを聞いていない振りをして、着替えを続行した。 それは、ある土曜の午後のひと時。 09.ココロもカラダも あの日、カーペンタリアで君と別れて以来、俺の心はどこか穴が開いたようだった。 仲がよかったとはとてもいえないような関係だったけど、どこか充実していた。 仲間が一人逝き、また一人逝き。 自らの目の前でその命の灯火が消え逝く瞬間を何度も目にしてきた。 そんな中で君とのひと時は、自分たちで思っていたよりも大切なのもだったのかもしれな い。 ただ、お互いのことに立ち入らず、抱き合うだけの関係。 そこに何があったのかということには、一切触れてはいけない。 互いに感じていたことも、考えていたことも、それはこの関係に持ち込んではいけないも のだった。 だからこそ、二人のこの関係が成り立っていた。 もし、すべての感情や思考がそこにあったら、俺たちはこうもうまく付き合えていなかっ ただろう。 今、俺はあの艦には乗っていないが。 君の隣にはいないが。 それでも、気が付けば君のことを考えている。 今になって、君の大切さに気付いた気がするよ。 離れてみて、無くしてみて、気付く関係なんて、本当はちっぽけなものなのかもしれない けれど、 やっぱり君がいなくては、不安定みたいだ。 どこにいても、誰といても。 俺のココロもカラダも君を求めてる。 俺のすべてが君を求めてる。 好きだって、愛してるって、叫びながら。 早く、君に逢って、抱きしめて、好きだと伝えたい。 イザーク・・・。 10.その背に羽根が生えたなら いつか、君の背中に羽根が生えたなら・・・ 君はどこかへ羽ばたいていってしまうのだろうか。 空を見ながら、なんとなくそんなことを考えていた。 頭には、準太の脚を感じる。 膝枕状態で、俺は空を眺めていた。 準太は、本を読んでいる。 窓から差し込む陽射しが気持ちいい。 5月の暖かい陽射しに包まれて、久しぶりの休みをふたりでまったりと過ごしていた。 「どうしたんすか?」 準太が本から目を逸らして、俺の顔を覗いた。 俺が、あいつの腰に手を回したからだろう。 「なんでもねー。」 「そうっすか。」 そういって、また本へと視線を戻す。 さっきの行為が、お前がどこかへいかないようにするためだとかいったら、お前引くだろ うな。 でも、なんとなく、一瞬、お前がどこかへ行ってしまうような気がしたのだ。 「準太ー。」 「何すか?」 俺の声に、また準太はこちらを覗いた。 「なんでもねー。ただ呼んだだけ。」 俺がそういって目を逸らすと、準太はしょうがないなとため息をついた。 「どこにもいかないっすよ。」 やさしく囁かれた言葉は、今自分が考えていたことだった。 驚いて準太の顔を見ると、準太は微笑んで、俺を見ていた。 あー、ばれてたのね。と頭の片隅で思って、でも、気が付いてくれたことがうれしくて。 俺は、準太を抱きしめていた。 そうすると、準太は俺の頭を、まるで子供をあやすようにやさしく撫でた。 いつか、君の背中に羽根が生えたなら・・・ |
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