月見の季節




夏休み明けのある日曜日。シニアの練習は午前だけで終わり、練習後、二人はモトキの家でまったりと寛いでいた。

「昼飯、何にする?」
「なんかないんすか?」
「ない」

腹は減っている。だが、買いに行くのは億劫。かといって、作るのも嫌。もちろん、電話をかけるのもノーである。そんなとき、かけっぱなしのテレビから毎年恒例の謳い文句が聞こえてきた。

『今年も、月見がでた!』
「「あ・・・」」

二人して画面に釘付けになる。

「そんな季節なんですね」

タカヤがしみじみと季節を感じている。こんなもので感じる季節もいかがなものだが、秋といえばコレと定着させた企業側をここは褒めなければいけないところだろうか。

「昼飯はこれで決定だな」
「ですね」

見てしまったからには、食べなければいけない。季節限定に弱い日本人らしい考え方である。だが、問題はそこではない。

「で、誰が買いに行くんですか?」

これである。食べたいものも決まった。売っている場所もわかっている。あとは、どうやってそれを手に入れるかである。

「・・・お前?」
「嫌です。モトキさんが言い出したんだから、あんたが買いに行けばいいだろ」
「は?ここは、年下が行くのが当たり前だろ」

どちらも譲らない。練習後の怠い身体を、誰も好き好んで必要以上に動かしたくないのだ。

「じゃ、俺が行ってもいいですけど、帰ってきませんよ」
あーいえば、こーいうである。
「何言ってんだ?」
「俺だけ食べて、そのまま家に戻りますよ。どうせ、家のほうに店があるわけだし」
「それじゃ、意味がねーだろ」
「んじゃ、モトキさんも行けばいいでしょ?」
「めんどくせーじゃん」
「俺もめんどくさいです」

きっぱり言い切ったタカヤに、モトキは仕方ないと溜め息を零した。

「しゃーねーな」
「最初から、二人で行けばよかったんですよ」
「じゃ、誰がチャリ漕ぐ?一台しかねーぞ」

モトキの家まで、タカヤはチャリで来ていた。モトキは、徒歩である。因みに、モトキのチャリは姉に使われているらしい。

「じゃんけんしましょうよ。負けたほうがチャリ漕ぐってことで」
「いいぜ」

決まれば後は早い。それぞれに、気合をいれ勝負に控える。

「じゃんけん・・・」
「「ぽん」」
「よっしゃーっっっ!!」
「あ゛―――っっっ!!」」

ガッツポーズとともに叫ぶ者と悲鳴をあげて項垂れる者。軍配はどちらにあがったのか。
 それは、神のみぞ知る・・・?笑


「ほら、あと少し!頑張ってください!!」
「ったく。じゃ、お前が漕げよっ!」
「負けたんだから文句言わない。ほら、店見えましたよ」



i'm lovin'their!!


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