「…やっぱり二人って、そういう関係だったんだぁ」

ルナマリアは、心底納得がいった、といった様子で画面に映る二人の姿を見つめていた。
隣では、シンが大きく瞳を見開いたまま固まってしまっている。

「あ、わ、わ…」

何で二人が、とか、男同士が、とか、あのジュール隊長が、とか、あのアスランが、とか言いたいことは多々ある。
だが、あまりに衝撃的な出来事に、声を出したくても出せない状態らしく、パクパクと金魚のように口が開閉してしまっていた。





Bellflower -another side-





イザークとアスランのキスシーンが画面に映し出されたのは、ルナマリアとシンが別室に移動して暫くしてからだった。
イザークから掛けられた言葉にも、アスランから掛けられた言葉にも、どちらにも自分の未熟さを教えられた気がして、不貞腐れていたシンであったが、さすがに今目の前で起こっている事実に、それまでの感情などどこかへ吹っ飛んでしまっていた。

「ど、ど、どうして!?」
「少しは落ち着きなさいよ」

逆にお前はどうしてそんなに落ち着いていられるんだ!と突っ込みたいのは山々だが、それすらもできないシンは、画面とルナマリアを交互に見つめる。
その瞳には、答えが欲しい、と切にかかれていた。

「どうって、元々二人ってそういう感じだったでしょ?気付いてなかったの?」
「え…?」
「何度か顔合わしたときに、感じなかった?」

ちょっと、普通とは雰囲気が違うとか、と言われるが、そっち方面に鈍いシンがそんなことに気付くはずもない。
知らないと思い切り横に首を振るシンに、ルナマリアは呆れたように溜息を吐いた。

「知らずに、アスランのことを想ってたのね…」

可哀想に、とルナマリアは目の前の事実に涙目になっているシンの頭を撫でる。
だが、その自分に向けられる慈悲さえ、意味がわからない、とシンは首を傾げた。

「だ、か、ら、イザークとアスランは昔から付き合ってた、って言ってんの」

てっきり、私はそれを知ってて想ってるって思ってたけど、と溜息を吐いたルナマリアに、シンは更に瞳を見開いた。

「嘘だっ!」

断固として、認めない!と叫ぶが、周り視線は既に同情一色に染められている。

「いい加減、認めなさいって」
「だって、ジュール隊長はそんなこと言ってなかった」
「言ってなかったって、あんた訊いたの?」

あのジュール隊長に?!と、そちらのほうに驚きを隠せないルナマリアに、シンは平然と答えた。

「バレンタインのとき。話の流れで、彼女いるんですか?って。でも、そのときいないって…」
「まぁ、確かに彼女ではないからね…」

シンの真っ直ぐな視線を痛いくらいに受けながら、ルナマリアは溜息を吐く。
確かに彼女ではないが、その答えが真実だと信じきっているシンもシンだ。
社交辞令でも何でも、そういった内容は本当であることのほうが少ないというものだ。
特に、恋人が男であれば尚更である。
それに、ジュール隊長が恋人について惚気ているところも、想像しがたいというか、したくない。

「でも、今の見てわかったでしょ…?」
「…うん」
「認めないとね…」
「…うん」

まるで、母親のようにシンを慰めるルナマリア。
その声に、諭されるように頷くシンに、周りの視線も幾分穏やかなものになっていた。





それから、数時間後。
艦内を顔を赤くして歩くアスランを見つけるが、シンは何も声をかけることができず顔を赤くしてしまう。
まるでこの二人が噂の二人であるかのような状態に、イザークとルナマリアが溜息を吐くのも仕方のないことだろう。



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